「ねこねこネットワーク」略して「NNN」という言葉をみなさん聞いたことがありますか?
最初に誰が言い出したのかは定かではありませんが、近年ネットで密かに囁かれている「猫の秘密組織」のことをそう呼ぶらしいのです。
そして、愛猫家の間では私を含めこの組織の存在について肯定的な人が多いようです。
今回は、巷で密かに囁かれるNNNの秘密について迫っていきたいと思います。
NNN(ねこねこネットワーク)とは
ネット上で囁かれている噂は様々ですが、その内容を大きくまとめると「NNN」は猫を求める人間や、猫に優しい人間に猫を派遣する秘密組織と言われています。
これは人間が「猫を飼いたいな」とか言ったり思ったり、もしくは「可哀そうな猫は放っておけない」という人の元には何故か猫がやってくるという事から、この組織の暗躍が囁かれるようになったようです。
そして、この組織の調査能力は半端なく、猫を求める人や猫を大事にしてくれそうな人を徹底的に調べあげ、あらゆる自然なシチュエーションを装い猫と飼い主をマッチングするのです。
巷の噂では、猫が欲しいと言った一週間以内に、捨て猫にばったり遭遇して飼うことになったとか、猫を一匹保護したらその後、次から次に猫が増えていった等、明らかに猫を欲する人や、猫を大切にしてくれる人の所に派遣されているような報告が次々と挙がっています。
「NNN」の存在を信じる人はこれらの出来事の事を「NNN案件」と呼んでいるようです。
NNN(ねこねこネットワーク)は存在するのか?
「NNN」肯定派の私としては、存在すると信じています。
その理由のひとつは、猫は未だに理由が解明されていない集会を開いているということです。
みなさんは猫が沢山集まる集会を見たことはあるでしょうか?
猫たちは特に何かをする訳でもなく、集まり、暫くすると各々散っていきます。
この集会が開かれる理由について、学者の間では
- 猫同士の顔合わせ
- 情報共有
- お見合い
など、諸説言われていますが、定かではありません。
しかし、情報共有をしているとすれば、これは有力な飼い主候補の情報や餌を与えてくれる人間の情報を共有している可能性があります。
一度、猫に餌をやると次から次へと新しい猫がやってくる話や、迷子になった猫を探すときに、顔見知りの野良猫にお願いすると迷子猫を連れてきてくれる。などの話はよく耳にする話です。
これらが全て本当だと仮定すると、猫は人の言葉を理解し、且つ、その情報をネットワークを通して共有していると考えられるのではないでしょうか。
猫信者でない人がこの文章を読むと気が触れてると思われそうですが・・(笑)
わが家の「NNN」案件事例を紹介
私とビーフ先生が出会って早14年が経とうとしています。
ビーフ先生との出会いは、私の恥ずかしいエピソードも含まれる為、あまり人には話していないのですが、実はビーフ先生も「NNN」から派遣されたと思しき猫なのです。
出会いは突然に
あれは忘れもしない9月下旬の昼下がりでした。
私はその日、当時付き合っていた彼女と、自宅で未だかつてない程の大喧嘩になりました。
喧嘩はしょっちゅうあったものの、必ずどちらかが折れて仲直りをしていたのですが、その日はどちらも折れることなく。
初めてお互い合意の上で別れようという事になった正にその時でした。
「ミーッ、ミーッ・・」
何処からともなく、か細い鳴き声のようなものが聞こえたのです。
それまで大きな声で喧嘩をしていたせいか、全くその声に気づきませんでした。
二人は顔を見合わせて、声のするベランダの方に近づき、そっとベランダの扉を開けました。
すると、ベランダの外には母猫の乳をまさぐる、生まれて間もない仔猫が4匹居たのです。
私は動揺しました。
なぜなら、当時住んでいたマンションは一階とはいえ、猫が簡単に入ってこれるような構造になっておらず、近所でも野良猫自体ほとんど見たことが無かったからです。
ベランダの扉を開けた私は親猫と目が合ってしまい、親猫はもの凄い形相で「シャーッ!」と威嚇をしてきました。
私はそれを見てそっと扉を閉めました。
気持ち的には、落ち着くまでここに居させてあげたいという思いと、ペット禁止のマンションなので、さて困ったなという複雑な思いでした。
扉のガラス越しにそうこう考えていると、親猫は仔猫を一匹、また一匹と咥えてどこかに行ってしまったのです。
その様子を二人はじっと黙って見ていました。
最後の仔猫を咥えて行った後、もう一度ベランダの扉を開き猫たちが居た場所を覗きこみました。
彼女が心配そうに「どう?」と聞いてきたので、私は「もういないよ」と答えました。
一匹も取り残されていないことを確認して、扉を閉めようとしたその時です。
なぜか、ゴミの日に捨てようとベランダに置いてあったゴミ袋が無性に気になったのです。
今でもなぜあんなことをしたのか分かりませんが、そっと私はそのゴミ袋を持ち上げました。
するとそこには手のひらサイズの、白黒の毛を纏った小さな塊が横たわっていたのです。
取り残されて
私は一瞬でそれが何かを理解しました。
しかし、その白黒の小さな塊はピクリとも動きません。
どうやらその仔猫はここに連れて来られた時に動き回ったせいか、ゴミ袋と壁の間に挟まり込んでしまい、身動きが取れなくなったようです。
そして、母親の乳が飲めずに衰弱してしまったのです。
私は慌ててその黒い塊を抱き上げ、顔をつついたり、体をゆすってみたりもしましたが、
ピクリとも動きません。
息をしてお腹が上下に動く気配もありません。
彼女に「もう駄目かもしれないけど、病院に連れて行きたい」と提案すると
二つ返事で「行こう」と言ってくれました。
私も彼女も物心ついた時から、猫と生活を共にしていた為、猫に対しては並々ならぬ愛着がありました。
実は大喧嘩をする少し前から「猫と暮らせる家に引っ越したいね」と話をしていた矢先の出来事だったのです。
そして病院へ
二人は急いで、タオルにその仔猫を包み、抱きかかえて動物病院に連れて行きました。
病院の受付で仔猫の名前を尋ねられたので、すいません野良なので名前はありません。でも死にそうなので直ぐに診て頂けませんか?とお願いをしました。
受付の方も少し驚いた様子で、院内も少しざわめきました。
すると、一人の年配の女性が近くにやってきて「あらあら、かわいそう。うちの子は後でいいからこの子を先に診てあげて」と言ってくれたので、素直に厚意に甘えさせて頂きました。
診察の結果は思っていた通り、乳を飲めないことによる衰弱でした。
先生は、仔猫の口を開け、細い管を食道まで通して液状の栄養剤を流し込みました。
すると仔猫は、初めて体をビクッと震わせました。
「生きてる・・」
そう思うと安心して力が抜けました。
先生も多分大丈夫だろうと言ってくれたので、彼女と二人で喜んでいると、先生に質問を投げかけられました。
「この子はどうされますか?もし飼うとしても、この時期の仔猫はトイレも自分で出来ず、食事も数時間おきにあげる必要がある」と言われ、「そもそもご自宅はペット可ですか?」と。
ようこそご主人様
その質問に私たちは我に返りました。
聞かれて当然と言えば当然ですが、目の前の命の生き死にだけに気を取られ、先の事は全く考えていませんでした。
しかし私たちは、先生の前でボソボソと相談を始め、すぐに結論を出して、先生に言いました。
生まれたての仔猫を親無しで1から育てたことが無いので、トイレや食事の方法は教えてください。
食事は彼女が在宅ワークなので、定期的にあげられます。
家については近々ペット可の家に引っ越しますと。
本当におかしなもので、さっきまで別れ話をしていた二人がいつの間にかその仔猫を育てる算段をしているのです。
その関係が今も続いていることが良かったのか悪かったのかはさて置き。
今思い返しても首をかしてげてしまいます。
こうして二人は別れることなく、拾った子猫は「ビーフ」と名付けられました。
翌日からは昨日の出来事が嘘のように元気を取り戻し、数時間おきにご飯の催促をするようになったビーフ。
かくして。忠実な猫の下僕が二人誕生したのでした。
今思い返してみると、これはベテラン「NNN」構成員の仕業に違いないと思うのです。
なぜなら、全てが絶妙なタイミングで且つ、私たちの生活環境を熟知していないとこの「猫派遣」はあまりに出来すぎているからです。
ポイント
- 二人とも猫が好き
- 猫と住める家に引っ越したいと話していた
- 彼女が会社を辞め在宅ワークになった直後
- 喧嘩の仲裁役として参上
このような話が私だけで無く、他の人の間でも起こっているとなると「NNN」の存在を信じざるを得ません。
まとめ
如何でしたでしょうか?
みなさんの身近にも心当たりのある「NNN」案件が有るのではないでしょうか?
「NNN」という秘密組織は人間を下僕化し、そこに主人である猫を派遣するという素晴らしい組織であることが分かりました(きっぱり)
今後も「NNN」の活躍により猫と人の幸せな出会いが増える事を祈るばかりです。
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