猫の認知症はいつから?症状や予防法についてもご紹介

人間の高齢化社会と同様に、犬や猫の世界も、生活環境やペットフードの品質の向上、獣医学の進歩などにより年々寿命が延びています。
 
かつて日本では、キャットフードが普及する前の平均寿命は7~8歳と言われてきましたが、今では、平均寿命は15歳前後で、20歳まで生きる猫もざらに出てきています。
 
これからも、ますます猫の高齢化は進んでいくはずです。
 
長生きする猫が増えれば、年老いた猫の介護が必然となってきます。
 
人間と同じで、猫も年をとるにつれて、体力が低下したり、体調が崩れやすくなるばかりか、「認知症」という症状があることもわかっています。
 
今回は老化現象の1つ、「認知症」についてお伝えしていきますね。

猫の認知症はいつから始まる?

pakutaso認知症

「認知症」とは、脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞)や加齢による脳萎縮により、脳神経細胞が正常に働かなくなり、認知障害などが起こること。

加齢による脳の経年劣化が一番の原因となります。

また、脳細胞数が最大量に到達すると、あとは徐々に死滅し、脳細胞は年々減少していきます。

死滅した脳細胞は元には戻らない(再生しない)ので、認知症は少しずつ進行していきます。

犬と比べると猫は認知症になりにくいと言われていますが、猫は犬ほど活発に動き回らないことから、認知症になったことに気付きにくいだけという見方もあります。

 

猫の場合、11歳から14歳の猫の4分の1以上、15歳(人間でいうと76歳くらい)の猫の半分以上に認知機能の低下がみられると言われています。

猫の認知症は18歳頃からだんだんと目に見えて症状が出てきます。

高齢になって、今までトイレの失敗をあまりしない猫が粗相するようになった。

やせてきた寝てばかりいる、など、猫の変化をすべて「歳のせい」と決めつけないようにしましょう。

トイレの粗相の原因は、腎臓や膀胱の病気の可能性があるかもしれません。

以前に比べて、食欲が増してきたら甲状腺機能亢進症の初期症状かもしれません。

他にも老化によるものだと思っていたら、じつは病気の初期症状だったということがあります。

「認知症」と飼い主が決めつける前に、まずは病気を疑って受診することが大切です。

猫の認知症の症状

脳が年齢とともに弱ってくると、若いころは当たり前に出来ていたことが出来なくなったり、今までになかった行動(異常行動)をみせたりするようになります。

次に紹介するのは、認知症の典型的な症状を5分類に分けて、英語の頭文字をとって「DISHA」と呼ばれるものです。

チェックリストとしても使えるので参考にしてください。

Disorientation(見当識障害) ・家の中で迷う

・つまずいたりぶつかったりする

・飼い主のことが分からない

・壁や宙をじっと見続けることがある

Interaction(社会的交流) ・飼い主、同居動物などへのつきまとい

・飼い主の関心をひこうとしない

・遊ぶ時間が減る

・攻撃的になる

Sleep-wake cycle(睡眠サイクル) ・日中の睡眠時間が増加したり、夜間の睡眠時間が減少したりする

・夜中に家の中を徘徊する

・無意味な夜鳴きが増える

House soiling(不適切な排泄) ・排泄のコントロールが出来なくなる

・粗相の頻度が多くなる

Activity(活動性) ・慣れ親しんだ場所や刺激に対する反応の低下

・餌を食べない、または食欲が異常に増す

・後ろ向きに歩けない、同じところをぐるぐる回る

・自分の体や物を異常に舐め続ける

 

 

猫の認知症の治療や予防はできる?

人間もそうですが、猫の認知症も進行性の病気であるために完治することはありません。

ただ、症状を軽減させたり、進行を遅らせたりすることができるので、初期段階で発見することができたら、異常行動をある程度おさえることができ、老化の進行を遅らせることができます。

その為、日ごろからの健康や行動を見て、早期発見してあげることが大切です。

認知症の予防や少しでも改善する方法として、「食事」「運動」「コミュニケーション」があります。

「食事」は、オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)やビタミンE。フリーラジカル(エネルギー生成の際に生み出される活性酸素)の活動を抑制するための抗酸化物質を含んだキャットフードを与えます。

そのなかでも、抗酸化物質は、ガンなど多くの病気を予防できますし、免疫力を高めてくれます。

高齢になってからではなく、若いうちから食べさせても良いですね。

年齢に合った良質なキャットフードを与えることが大切です。

 

「運動」は、暗い部屋で寝てばかりで単調な生活をしていると、認知症に発症する確率が高くなると言われています。

日なたぼっこができる場所を用意してあげ、たくさん遊んであげて運動させましょう。

理想は、もう一匹遊び相手になってくれる猫がいると勝手に遊んで追いかけっこしたり、プロレスごっこしたりで運動不足を解消することも出来ますが、多頭飼いには、適した環境や条件が必要になってくるので、誰でもというわけにはいきません。

また、パズルのように探しながら食べる知育玩具のようなものを使って遊ぶ習慣をつけておくと、脳への刺激になります。

 

「コミュニケーション」は、スキンシップを兼ねたマッサージがおすすめです。

高齢になると活動量が減るため、筋肉が衰えて身体機能が低下します。

皮をやさしくつまむマッサージをすることで、血行がよくなりリラックスすることで免疫力が高まります。

ただし、皮膚に異常がある場合や、嫌がるようならストレスになるのでやめましょう。

マッサージを嫌がる猫には、抱っこしたりなでてあげるだけでも愛情は伝わります。

「食事・運動・コミュニケーション」は認知症になってから始めても、環境の変化でストレスになってしまうので、若いうちから慣れさせると良いでしょう。

認知症の猫との暮らし方

ストレスは認知症を促進させる原因の1つなので、問題行動にもなるべく叱らずに、猫が暮らしやすい生活空間に少しずつ変えていきましょう。

飼い主が心にゆとりを持って接することも大切なことです。

「介護疲れ」にならないように、たまには息抜きをしたり、人に頼ったりしてリフレッシュしましょう。

まとめ

老齢猫

人も猫も高齢化社会を迎えています。

うちの愛猫はまだ若いから、老齢や認知症なんてまだまだ先のこと。

とは思わずに、いずれ訪れることを念頭におき、若いときから情報を集め、いつでも対応できるように備えておかなければならないと思います。